平成29年第4回定例会 自由民主党代表質疑(骨子) (12月13日 菊地崇良)

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◇ 前 言(市政に関する認識等)             

今日、本市を取り巻く状況は、かつてないほどの厳しさに直面している。少子高齢化の進展、目前に迫りくる人口減少の時代に加え、これまでにない自然災害の数々。こうした困難な時代にあって、仙台市政には大きな決意と実行力が問われている。

私たちの会派「自由民主党」は、すべての人々の人格の尊厳と基本的人権を尊重する真の自由主義・民主主義の考えのもと、先人達が築き上げてきた日本の伝統と文化を尊び、これらを大切にし、その発展をめざすべく、地域の幅広い支持に根差した現実的な政策集団として、最大会派としての責任を自覚しながら市政の重点課題などに真摯に向き合い、二元代表制の健全な機能発揮のためにも、市政推進上の様々な政策展開に誠心誠意、是々非々で取り組んで参る所存である。

過日、私ども会派「自由民主党」は市長に会派要望を提出したところであり、本定例会代表質疑においては、その中での重要課題の区分に従って提出議案及び目下の重要案件について抽出して、順次、質疑・提言する。

 

◇ 市民の安全・安心の確立を目指す施策の推進 

(1)北朝鮮による核実験や弾道ミサイル発射などへの懸念

北朝鮮は、国連安全保障理事会の決議を無視し、11月29日早朝、またもや弾道ミサイルを発射し、午前4時11分頃、漁船や船舶が操業・航行する日本の排他的経済水域(EEZ)である青森県西方約250kmの日本海に落下させた。世界の平和と国際協調を乱し、我が国の安全を脅かす極めて危険な行為であり、激しく非難する。

飛翔距離は約1,000kmで、最高高度は4,000kmを大きく超えると推定され、既に大型の核弾頭を搭載することができるとの見解もある。また、昨今、日本海側に北朝鮮籍の木造船が多数漂着しているが、無人島で窃盗を働いた疑いで拘留された船は軍所属ともいわれており、武装工作員の可能性ありとの内閣官房長官の発言もあった。

現行の憲法9条を護持していれば武力攻撃事態に巻き込まれることがないとの考えは、もはや極めて無責任な妄想である。国民の生命と財産を守るための法整備や、具体的な方策について論じ、講ずることは政治の責務である。冷静で現実的な国民的議論も必要と考える。

首長たる市長とて他人事ではなく、国民保護法においては、市民の生命財産を守るための避難誘導、武力攻撃災害による火災からの保護、防除、軽減は第一義的に市長の責任と指揮のもと行われるのである。例えば、弾道ミサイル攻撃、核・生物・化学攻撃、成層圏での核爆発により一瞬で殆どの都市インフラ機能を停止させる電磁パルス攻撃、市街地でのテロ、朝鮮半島からの南北避難民の大量漂着や仙台港に接岸した場合、これによる天然痘などの感染拡大、他自治体への応援など、様々な事態への対応が想定される。

消防と危機管理部局はもとより、医療・福祉・建設・経済・市民部局からガス・水道・交通事業までのすべての局を統括し、全職員の指揮を執って108万市民の生命を守る市長の覚悟を問うとともに、現時点での備えと今後の対策について伺う。

 

(2)災害関連法制の早期の見直し・充実

東日本大震災以降、日本は地殻変動の活動期に入ったともいわれる。平成28年4月には熊本地震が発生し、甚大な被害がもたらされたが、その後も大きな地震が幾度となく発生している。高い確率で発生が予測されている南海トラフや首都直下地震や豪雨を含めた大災害への引き続きの警戒が必要であり、人命を救い、被害を最小化するための災害関連法と運用のための体制を整えておくことが不可欠である。

東日本大震災の教訓から、本市が中心となり、国に対し見直しを求めてきた「災害救助法」の主体権限も問題もその一つであり、これまでの粘り強く調整を続きてきた当局の尽力を評価する。

我が会派「自由民主党」としても「自由民主党政令指定都市議会議員連盟」などにおいて、継続して政策提言と国への働きかけを呼びかけてきた。結果、先月までに全ての政令市で意見書が採択され、国への要望が一斉に行われた。また、全国市議会議長会でも11月8・9の両日、政令指定都市の議長共同で内閣官房長官や防災大臣などに、早期制度見直しの要望活動を行うに至った。

現在、内閣府の開催する実務検討会において、議論を続けているところであるが、過日の上京の折、内閣府は来年の法改正を見据えているようでもあった。あと一歩のところまで来ているのではないかと感じるが、本市の関りなどについて伺う。

また、権限移譲に向けては、頑なにこれを拒む京都府知事を筆頭とする全国知事会の説得と内閣府の協力を得ることが肝要だが、市長が先頭に立って我が国政令市の災害時における役割について主張すべき立場にあるのではないかと思うが認識と、今後の見通しについて伺う。

 

(3)消防体制の充実・強化

近年、全世界的に大規模な地震や異常気象に伴う台風などによる激甚な自然災害が頻発しており、我が国においても、大規模な自然災害の危惧があることは先に述べたとおりである。また、一昨日もニューヨークでテロが発生したが、主要国等においてもテロやミサイル災害の脅威が現実的なものとなっている。様々な状況においても、災害を排除し、速やかに負傷者を救出して人命を救助する消防の安全・安心に係る任務は不変であり、市民の期待は大きい。

先日、市内にある病院のヘリポートを活用した消防ヘリの離着陸訓練や、高等学校からの患者空輸の訓練が行われた。様々な状況を想定して日々厳しい訓練に取り組む姿を評価する。

ヘリコプターによる患者空輸の訓練は、遠隔地における傷病者を迅速に病院に搬送し、早期に診療を開始させることができるため有用性は高く虎の子的存在でもある。一方、機数が限られていることから、複数の傷病者が発生した場合は、医療機関との連携は勿論のこと、県や自衛隊、海上保安庁などのヘリコプターの協力確保が不可欠であり、大規模災害等の有事における市民の安全と安心を確保するため、危機管理部署はもとより、消防局においても、様々な実動機関との連携・強化を見据えた運用研究や通信・通話、屋上ヘリポートや場外着での共同での離発着や給油のための訓練など多岐にわたる取り組みを進めることが必要である。特に新設する本市ヘリポートの開設を見据えた準備も求められるが当局の所見を伺う。

近年、高齢化等の影響により、全国的に救急需要が増大している。本市においても救急出場件数は右肩上がりとなっていることを受け、先月、会派として東京消防庁を視察し、都市の消防の在り方について知見を得てきた。昨年、消防局が策定した「総合的消防力の整備方針2016」によると、本市の人口のピークは平成32年であるが、救急需要はその後も当分の間伸び続けると予想されている。このような状況の中、とりわけ市中心部は救急需要が高いことから、JR仙台駅周辺に本市初となる救急隊専用出張所の開所を予定していると聞いているが、本出張所の特性(地理的、編成・装備)と運用の狙いについて伺う。

 

 (4)復興公営住宅の特別家賃低減事業

復興公営住宅に適用されている国の「特別家賃低減事業」は、入居後6年目から家賃が段階的に増額となる仕組みであることから、先の第3回定例会の代表質疑において、わが会派会長が6年目以降の家賃負担軽減についての市長の考えを尋ねた。

その際の答弁は、「復興公営住宅の家賃の減免制度は、被災者の居住の安定を図ることや被災地間のバランス等の観点から、国が一律の制度として設けたものであり、各自治体が独自の減免を行うことには慎重な対応が必要と考えている」というものであった。会派(政調会)として、復興副大臣に対しこの問題を含む要望・陳情を行ってきた中で、先月、国としては、6年目以降も負担軽減が必要な場合は、地域それぞれの実情に応じ、各自治体で対応されたい旨の考え方が示された。

一昨日の12月11日、複数の復興公営住宅の入居者の代表者の方々が6年目以降の家賃に関する要望を市長に提出した。市長は、「市として何ができるか検討したい」と話したが、重視すべきは、被災者の居住の安定性を確保することである。国の考え方や本市の実情を踏まえ、本市として独自の対応を検討するつもりなのか伺う。

なお、復興公営住宅は、いずれ一般の市営住宅として活用される予定であり、同じ建物内で、家賃負担軽減のあり方が長期にわたり異なることは現実問題として難しいことから、検討に際しては、一般の市営住宅との均衡への配慮も必要であると考えるが、このような点も含め、復興公営住宅の家賃の負担軽減について検討していく場合、本市として、どのような視点を持って進めるのか、市長の所見を伺う。

 

◇ 地域経済の活性化と経済政策の推進     

(1)国の施策の早期の把握と対応

政府は、この度「生産性革命」と「人づくり革命」を車の両輪とした新たな政策パッケージを策定した。生産性革命については、平成32年(2020年)までの3年間を集中投資期間として推進する方針である。これに先駆け自民党経済構造改革に関する特命調査会は、AIなどの第4次産業、地域における中小企業の生産性、新たなチャンスを生み出す仕組みづくり、イノベーション促進の強化を提言している。

国の新たな取り組みに連携したシームレスな施策展開のためには、早期の情報収集が必須であるが、本市の持続可能な産業構造の構築と発展を目指し、東北経済の成長エンジンとしての役割を果たすべく、例えば国家戦略特区などに取り組んできた立場として、これらについてどの様に捉え、今後、どのように向き合っていこうとしているのか伺う。

 

(2)G20等の国際級会議の誘致促進

先月開催された「世界防災フォーラム・仙台2017」と関連イベントは、内外の研究者や災害対策関係者が参加し、仙台国際センターへの一般来場者は一万人を超えたとある。おもてなしの意識のもと、主催市として真摯に企画・運営に携わってきた職員各位の尽力に敬意を表する。

東日本大震災の被災地・仙台から、これまでの経験・教訓を踏まえた取り組みや、より良い復興、先進機器の紹介など、将来への備えについて国内外に発信したことは、仙台防災枠組み採択の場となった本市の役割を果たすことができたのではないか。

本フォーラムでの知見が、それぞれの国・地域等において、だれもが安全で心豊かな災害に強いまちづくり・国づくりに生かされることを期待するが、当局の評価と今後の継続した取り組みへの認識について伺う。併せて、期間中の経済効果と今後の交流人口拡大の観点からの教訓についても伺う。

近年、外国人来訪者が逐次増加しつつあり、大の親日国のひとつであるタイからの来訪者が増えていることは喜ばしいことである。(定期便の再開を願うところ。)一方、日本政策投資銀行の調査では、アジア圏域から再び東北を訪れたいと希望する率が全国の地域別で最も低いことが判明した。当局の認識と本市の状況及び今後の取り組みについて伺う。

国が、平成31年(2019年)に日本で初めてとなる20ヶ国・地域首脳会合(G20)を開催することを受け、本市では閣僚会議の誘致を目指すこととなった。

会派「自由民主党」は、これまで本市が誘致した国連防災世界会議や先進7ヶ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議と同様に、政府・与党に対する働きかけを惜しまないことを表明する。しかしながら、私たちの働きかけと政府の東北観光復興施策に甘んじることのない、市長の誘致に向けた真剣さが求められる。決意を伺う。

 

(3)国際姉妹都市交流

本年は仏レンヌ市と韓国光州広域市との交流記念の年度であり、それぞれ相互訪問による行事が行われた。国際交流・姉妹都市締結の目的は、世界人類の平和と協調のための相互理解の促進と、それぞれの経済の発展などであると思うが、当局の認識を伺う。

ところが、姉妹都市の光州広域市の市役所前には、所謂「慰安婦像」が設置されており、1965年の相互の請求権の完全かつ最終的な解決と関係正常化を定めた日韓基本条約、また、2015年の「慰安婦問題を最終的かつ不可逆的に解決させ、国際社会で本問題について互いに非難・批判することを自制する」との日韓合意、更には、外国公館前での侮辱行為を禁じたウイーン条約の精神に、悉く反する状態となっている。この問題については第1及び第3回の自由民主党による代表質疑をはじめ、本議会で度々取り上げられている。

大阪市は、相互の信頼関係を失墜させるサンフランシスコ市での慰安婦像と碑文の設置中止を重ねて申し入れてきたが、これらが公共物化されたことを受け、姉妹都市解消を決定した。また、福岡市は同じく像を設置する姉妹都市の釜山市に対し「交流事業で市民の安全を確保するため、耳の痛いことも伝えるべき」として、10回以上の折衝を続けている。

指摘すべきことはしっかり指摘し、相互の理解と信頼を構築しなければ姉妹都市の真価が問われるとの姿勢に賛同する。また、北朝鮮の情勢不安の折であり、良識ある民主主義国家間の友好関係の堅持が国際社会でも求められている。本市とて対岸の火事ではない。

伊藤副市長が先月訪韓した折には、先方に懸念を伝達したとのことであるが、詳細について伺う。また、先週、光州広域市の訪問団が仙台に来訪したが、表敬を受けた市長は、真の友好と市民の安全のため、親愛の情と姉妹都市解消の覚悟をもって本市市民の懸念を伝えたと思うが、その時の対応と、国家間の約束を反故にし、友好関係にも大きな溝を落としている像設置に関する考えなどについて伺う。

 

 (4)付加価値の高い都市農業づくり

第125号議案、仙台市農業委員会の委員及び農地利用最適化推進委員の定数を定める条例に関連し尋ねる。

本条例は、農業委員会等に関する法律の改正に伴い、農業委員会の委員等の定数を定めるものであり、農業委員は、これまでの概ね半数の19名となる一方で、新たに34名の農地利用最適化推進委員が委嘱される。これを併せると53名となり、改正前の37名を大きく上回ることから、地域農業の維持・発展のための体制が整備・強化されるものと評価し、期待する。当局は、農業委員と推進委員とが、どのような役割分担の下、本市農業の振興に寄与すべきと考えているのか、まず認識を伺う。

今年の稲作は、8月、9月の記録的な天候不順もあり、その作柄が非常に心配されたが、国が今月5日に発表した今年の作柄概況では、宮城県は99の平年並みとなっており、ひとまず安心した。米は本市農業の基幹作物であり、本市農業の持続的な発展を図るためには、国による農業全体を見渡した施策と、地域事情に応じた本市のきめ細やかな取り組みの両面からの対応が必要である。

国の施策では、米の直接支払交付金によって、今後も地域の農業者の方々が安心して米づくりと国土保全に勤しむことができるよう期待する。

本市の施策にあっっては、高齢化や担い手不足に悩む、中・小規模農業者の課題や、西部の中山間地など、耕作が放棄される農地が年々散見される問題について、今後どのように進めていく考えなのか、所見を伺う。

 

◇ 全世代型の社会保障の充実 

 

(1)子ども子育て体制の充実

ア 幼児教育の無償化への本市の対応

政府は、「人づくり革命」をめぐり、総額2兆円規模の政策パッケージを先週8日に閣議決定した。施策の柱となる幼児教育の無償化については、0歳から2歳児は住民税のかからない所得の低い世帯を対象として無償化を進めるほか、3歳から5歳児は所得とは関係なく無償化するもので、2019年4月から一部に、2020年4月からは全面的に実施する予定としている。一方、認可外の保育施設をどこまで無償化の対象とするかは来年夏まで検討を続けるとのことである。これら幼児教育の無償化について、費用負担も含め本市の対応について伺う。

 

イ 私学助成の幼稚園の処遇改善

待機児童の解消に向けては、新たな保育施設等の整備のみならず、既存施設の活用が大きなカギとなる。本市には、多くの私立幼稚園があり、全ての園で通常の教育時間の前後に預かり保育を行っている。保育所と同程度の保育時間を提供している園も多くあり、待機児童の解消に大きく寄与している。

現在、子ども・子育て支援新制度に移行した幼稚園や保育施設等については、国が定める公定価格において処遇改善が図られているが、私学助成を受けている園に対する処遇改善は進んでいない状況にある。これまで幼稚園の預かり保育が保育の受け皿として大きな役割を果たしてきたことに加え、引き続き教育・保育の両面で力を発揮してもらうためには、私学助成の幼稚園の処遇改善も不可欠であると考えるが如何。

 

ウ 仙台市幼児教育の指針の策定

人づくりの重要性が増す中、本市は現在、現場からの要望を受け、独自の幼児教育の指針策定に取り組んできたことは、時宜を得た取り組みであり評価する。現在中間案に対するパブリックコメントが行われているが、保護者や幼稚園関係者などに広く意見を募集し、実効性が高く魅力のある指針の策定となることを期待する。今後どのように取り纏め、周知を図り活用していくのか伺う。

 

◇ 確かな教育の確立と次世代育成策の推進   

 

(1)喫緊の課題・いじめ問題等への対策

遅れに遅れていた、いじめ防止対策推進法に定めるそれぞれの調査委員会等がようやく設置され、始動し始めた。遅きに失した感が否めないが直接原因から遠因にわたるしっかりとした原因解明のための調査と再発防止のための対策が講じられていくことを強く願う。

いじめを原因に命を失った生徒を守るはずの教諭による体罰や不適切な発言が明らかななった事態などを重く受け止めた前市長は、これもまた遅まきながら市独自の、いじめ対策等検証専門家会議を設置し、これまでの本市のいじめ対策の取り組みの検証に合わせ、体罰の全校アンケート調査などに乗り出した。

振り返ってみるに3人の犠牲者を出してなお、本市の対応が遅々としてきたことに疑問と憤りを抑えることができない。市の調査・対策の遅れを疑問視した私たち議会は、いじめ問題等対策調査特別委員会を設置し、本市の総力を挙げた速やかな対策を促進する所存であるが、市長並びに関係当局は非常事態にあるとの危機意識をもって再発防止と根幹たる課題・問題の改善について総力を挙げて取り組むよう強く求めるが、見解を問う。

教育局は、調査委員会等の立ち上げの遅れについての影響と今後の見通しについてどのように捉えているのか伺う。

また、調査等の遅れに拘わらず、子どもたちの命を守り、健やかな育みを支えるための様々な取り組みが当然進められるべきだが、現状と評価について伺う。

体罰等のアンケートが小・中学校において実施され集計中である。集計の途中であっても問題が判明した場合、速やかな対策への着手が重要であるが、新たな事実の判明と対応の状況について伺う。

様々な悩みを抱える児童・生徒の兆候を見逃さず、対応するのは現場の教員である。それぞれの職務を果たすための施策と環境整備をしっかりと進めるべきこと、現場の責任者である校長等の臨機で的確な初動対応が事後の成否に大きく影響するため管理職の力量向上と相談体制を強化するための取り組みを進めることについて数度提言してきたが、現状について伺う。

市長は選挙公約の段階から速やかにいじめ問題への対応と教育改革を進めると訴えているが、市長による対策がいまだ何も講じられていない。12月4日のいじめ問題等対策調査特別委員会での答弁で明らかなったように対策に関する具体的なイメージさえまったく明らかにされておらず、市長公約とは何だったのかとの不満と疑いを禁じ得ない。

改めて市長の公約してきた市立中学生自死事案の徹底解明と「いじめ防止条例(仮称)」策定とはどのようなものであるのか示されたい。また策定時期は第三者機関等の意見を聞いてとあるが遅くないのか。スピード感が必要であるとの私たちの質疑に「スピーディも重要と認識するが、丁寧な議論もあわせて必要である」旨答弁があったが、先に述べたように対策が遅れに遅れてきたから、事案が連続してしまったと認識していたのではないか。

12年間地元の国会議員として政治に携わってきた市長は、当然本市のいじめ自死問題について、深い懸念のもと相当の研究を進めてきたはずである。過日、市の総力を挙げていじめ等の問題に取り組むための市長部局への組織の設置について改めて提言したが、市長の専決で直ちに実施できるはずである。いまこそ政治決断を果たすべきではないのか。定期の人事異動を待つなどとの悠長で後ろ向きな答弁と姿勢を市民は、また遺族は求めていない。市長の決断を促し、かつ、伺う。

 

◇ 未来に向けて魅力あるまち・都市づくり      

(1)地下鉄沿線まちづくりと交通体系

地下鉄東西線はこの12月で開業2周年を迎えた。新聞報道などで、利用客数は増加しているが需要予測にはまだ達していないと報じられた。今後、さらに利用客増に向けた努力が必要であるが東西線の利用者数の現状、地下鉄南北線の開業時の状況と比較した場合の評価、また今後の見通しについての考えについて伺う。

また、東西線によるバス路線再編の影響などでバス事業の収支が悪化したため、来春より段階的にバスの減便を行っていくともあるが、今後の市営バスの運行の考え方、及びそれられを踏まえたバス事業の経営の見通しについて伺う。

本市では、都市軸である十字の地下鉄の沿線を中心とした機能集約型のまちづくりを目指しているが、今述べたように、東西線の利用者数はまだ予測には達しておらず、またバス事業の経営は極めて厳しい環境にあるなど、(目指すまちづくりを実現するためには)まだまだ多くの課題がある。

このような状況を踏まえると、地下鉄を中心とした交通体系の十分な活用に向け、10月、11月に県と共同で行ったパーソントリップ調査等の客観的なデータと、民間による各種の意識調査などに基づく交通政策や魅力ある地下鉄沿線のまちづくりを総合的に推進していくことが必要であると考えるが、今後の取り組みについて伺う。

 

(2)音楽ホールの整備促進

現在、本市の文化力の向上と観光交流人口の拡大を目指す音楽ホール整備と災害にも耐えうる指揮中枢機能の安全化を期する本庁舎の建て替えという、大きなプロジェクトが2つある。様々な課題もあるが、これらについては熱意をもって知恵を絞り、努めて早期に実現させるべきであるが、市長の決意について伺う。

これまでの音楽ホール検討懇話会においては、主ホールを、2,000席の多機能型ホールで、との議論が行われていたが、市としてどのように考えているのか伺う。

宮城県では、県民会館の今後のあり方等に関する有識者による検討委員会が設置されると伺っている。ホール機能の非効率的な重複を避けるため、県と市の事務局レベルでの調整が進められているとのことだが、本市として主体性をもって取り組むべきである。現段階において県との合築の可能性があるのか見解を問う。

既に十分な調査費と日時を費やして検討している。具体的構想に着手するためにも、どこに、いつまでに整備するということを早い段階で表明すべきである。今後のスケジュールや展望について明示されたい。

 

(3)仙台城などの整備と観光交流の効果

本年は政宗公生誕450年の記念の年であり長年保留となっていた仙台城の復元や、四谷用水の特集などが報道機関でも様々に取り上げられ、市民の機運の高まりが見られる。

これまで、議会においても大手門など仙台城跡の史跡の復元について様々な議論があった。先月、先般「政宗ワールドプロジェクト」より大手門復元に向けた多くの市民の署名が市長に提出された。

国は、文化財の活用に重きを置いた保存活用計画の策定について指導しており、本市においては、11月30日に有識者による仙台城跡保存活用計画等策定委員会が立ち上がったとも聞いている。市民の念願である仙台城の復元について市としてどう考えているのか伺う

また、仙台城だけではなく、市内には数多くの文化財、歴史遺産が存在しており、これらの資源を発掘し体系化していくことが重要と考える。同時に経済や文化観光の面での効果やニーズの視点からの分析と施策化も必要である。

国による東北の観光復興への取り組むみにあわせ、歴史まちづくり法などの各種支援メニューを有効に活用すべきである。多賀城市では政庁跡の南大門の復元に関する検討が急速に進められていると聞く。本市として歴史を切り口とした交流人口の拡大に向けて、総合的にどのように進めていこうとしているのか伺う。

 

 

◇ 責任ある財政運営と財政基盤の確立

 

(1)第123号議案平成29年度仙台市一般会計補正予算(税収)

第123号議案平成29年度仙台市一般会計補正予算に関連し、本市の財政について尋ねる。

市長は、7つの重点政策をはじめ「誰にでも居場所と出番がある仙台」とする公約を掲げた。それを実行していくためには、その裏付けとなる財源の確保が不可欠であることは論を待たないところである。第3回定例会においても、経常収支比率が100に限りなく近づく財政構造の硬直化が進んでいることや、臨時財政対策債の残高が年々増加する中での今後の対応など、財政問題について我が会派をはじめとした多くの同僚議員から質疑があった。

財源確保にあたっては、国、県からの補助金を最大限有効に活用することはもちろん、世代間の負担の均衡という観点から市債の発行も必要なものとは認識しているが、様々な施策を柔軟に展開していくためには、他の機関に依拠しない本市の自主財源をいかに確保していくかが重要であり、中でも収入の根幹をなす市税の安定的な確保は最重要の課題であると考える。現在、国においては、平成30年度税制改正作業が大詰めを迎え、個人所得課税の見直し、地方法人課税の偏在是正、地方たばこ税の税率引上げ等の議論がなされ、まもなく取りまとめがなされようとしている段階である。このような状況の中で、本市の来年度以降の税収についてどのような見通しを持っているのか伺う。

 

 

◇ 平成29年を振り返って(総括)

 

これまでの市当局と議会の議論と国と関係機関が一体となった取り組みへの努力によって東日本大震災からの復旧復興は計画期間の5年を超えたものの、29年度初頭の予算ベースで約9割まで進捗してきた。復興の完遂のため油断なき取り組みが求められる。

同時に、大震災によって着手が遅れていた、将来の少子高齢化・人口減少社会に立ち向かうための施策が本格的に展開し始めた。

前市長の突然の出馬見送りにより、急きょ夏に現市長への交代がなされて、早や100日、12月12日現在で114日目が過ぎた。12年間政治に携わってきた市長にとっては、他の者との100日とは異なる期間であったと認識する。

国においては、我が国を取り巻く厳しい環境の中、未来に向かっても新たな施策を進めており、総理は11月の特別国会の所信表明演説で、東北の復興なくして日本の復興はないと言明した。東北で唯一の政令市である本市は、本市と東日本全体の持続可能な地方創生を一層斬り拓き進めていかなければならない。

復興からの6年半と同じく、引き続き国の施策の早期の情報入手と予算・制度についての密接な調整に加え、県や関係基礎自治体との力を合わせていくことが肝要である。

一方、郡市長の就任後、仙台市長は宮城県市長会の会長でなくなり、東北市長会の会長についても暫定的就任となっている。これまで少しずつではあるが、進められてきた県内・東北基礎自治体全体での共存共栄への期待感が不安感に変わっている。

108万仙台市民の生活と東北を牽引すべき政令市の市長として、未来を担う立場を果たすべく、それぞれ(国、各自治体)との信頼関係の構築を求める。

今年の漢字は「北」に決まったが、仙台市では「郡」だと思う。どちらも注目されている。自身を顧みた所見を伺う。

(以上)

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