28年仙台市議会第3回定例会における27年度決算等審査(市立病院)に関する菊地崇良・質疑(要旨)28.9.29
仙台市立病院は老朽・耐震上の問題から、平成26年11月に、仙台市若林区五橋から太白区あすと長町に移転しました。
地域的に比較すると、これまでの仙台市中心部から、南の方に移動したわけであり、過去の議会では仙台市民の利用に不便ではないかとの議論がありました。
平成26年は移転の年度なので、移転前の25年と今回審査の対象となっている27年が、大づかみではありますが、年度単位でどのように変化したかをはじめて分析できる特別委員会なので、概要について質疑しました。
外来・入院総数としては、25と27年度では(分析のための年度単位別での標本数は絶対的に不足しているとの前提で)、
〇入院:143,177人から145,697人↗で増
〇外来:231,957人から220,796人↘で減
軽度な地域医療と、高度な専門医療の分化・連携を進んでいる結果とすれば、病院新設の趣旨に合致していると総数では、まず評価できると考えます。
内訳をみると、仙台市民の利用は、入院・外来ともに減少しており、逆に市域外からの通院者がともに増加しているのです。
例えば、増減数の大きかった外来患者数について、人口別で比較してみると、
〇仙台108万市民の利用率は約16%(177,239人)
〇南隣の名取7.8万市民の利用率は約19%(14,807人)
〇仙台市内で最も利用数の減った宮城野区では、19.6万区民の約6%(11,266人)
であり、比率だけの比較でいうと、仙台市の公金を使用して建設された病院としては市外の利用率が高いと言えます。
しかし、仙台市は経済圏、医療圏ともに周辺の市町村と同じくしていますので、利用率をもって建設場所の否定はしませんし、広域連携推進の現れであると思うので、今後の国の地方創生・広域連携の制度と予算獲得を大いに期待するのですが、大切なのは高度専門病院の建設にあたっては、圏域での市民の人口分布、移動時間・手段の観点から、官・民の各硬度医療機関の診療科機能ごとの配置バランスが適正になされているか、であると考えます。さらなる検証が求められると思います。
宮城県がドクターヘリを導入することで、県議会や報道で取り上げられています。
仙台市立病院は、救急医療の最先端の拠点病院としての役割が期待されており、屋上には10トン近くのヘリコプターが発着できるヘリポートが設置ずみです。
東日本大震災でも緊急患者空輸の重要性が認識されました。
仙台市の消防ヘリの発着訓練は実施済みですが、国交省、警察、県防災ヘリ、自衛隊などの関係機関のヘリコプターすべての発着試験はまだのようです。日本のパイロットは優秀で器用ですから、発着に手間取るということはないかもしれませんが、訓練して始めて成果と問題点が明らかになるのです。
受け入れ側のダウンオッシュへの慣熟と安全確保も心配です。早期の訓練を実施すべきです。
仙台市は、震災復興5年計画を経て、人口減少・少子高齢化にあっても税収を確保するため、全国で増加しているのに、震災後伸び悩んでいた東北の観光交流人口の増大を期して、文化・観光局を新設しました。おおいいに期待するところです。
しかし、国内外の訪問者が増えることは、世界で大問題となっている感染症のリスクも増加する可能性に注意しなければなりません。鳥インフルエンザのパンデミックはもちろん、世界を騒がせたエボラ出血熱などへの対策強化も喫緊の課題です。
東北で唯一の政令市である仙台医療圏の国・県・関係病院・機関と連携した対策強化を求めます。
(以上、概要要旨)