巨額事業に対する議会の責任 音楽ホール複合施設附帯決議への賛成討論
音楽ホール複合施設附帯決議への賛成討論
令和8年第1回仙台市議会定例会では、
音楽ホール・震災メモリアル複合施設を含む令和8年度仙台市一般会計予算が審議されました。
私が所属するせんだい自民・参政の会では、巨額都市事業の進め方について慎重な検証を求める附帯決議を提出しました。
私は本会議において、この附帯決議に賛成する立場から討論を行いました。
討論の要点
今回の討論では、主に次の三点を指摘しました。
① 巨額事業には説明責任が不可欠であること
当初218億円とされた事業費が、現在では約800億円規模とも言われる水準にまで拡大しています。
市民の税金による公共事業である以上、十分な説明と検証が求められます。
② 議会の役割は行政提案の検証であること
議会は行政の提案をそのまま追認する機関ではなく、必要な検証と議論を行うことで市政運営の健全性を担保する役割を担っています。
③ 附帯決議は事業否定ではなく慎重な検証を求めるもの
文化政策の重要性を認めつつも、都市投資としての妥当性を丁寧に検証することが必要であると述べました。
本会議賛成討論(要旨)
ただいま議題となっております、
令和8年度仙台市一般会計予算に対する附帯決議案について、賛成の立場から討論を行います。
中心部震災メモリアル拠点と音楽ホールの複合施設整備は、本市の都市政策の中でも極めて大きな事業であります。
文化芸術の振興、そして東日本大震災の記憶と教訓を後世に伝えていく取り組みは、本市にとって重要な意義を持つものであります。
しかしながら、本事業の事業費は当初218億円とされたものが、現在では約800億円規模とも言われる水準にまで拡大しております。
これほどの巨額事業である以上、市民に対する説明責任、そして政策的妥当性の検証が不可欠であります。
本附帯決議は、事業そのものを否定するものではありません。
巨額都市事業の進め方について、議会として慎重な検証を求めるとともに、市民理解を十分に得ながら事業を進めていくことを求めるものであります。
議会制民主主義において、議会は行政提案をそのまま承認する機関ではありません。
必要な検証と議論を行い、市政運営の健全性を担保することこそ、議会の重要な役割であります。
以上の理由から、本附帯決議案に賛成するものであります。
討論の結果
附帯決議は、本会議において採決されましたが、
是々非々の姿勢で市政判断を行う議員の数が過半数に及ばず、否決されました。
しかしながら、巨額都市事業の進め方について議会として問題提起を行ったことには、大きな意味があったと考えています。
今後に向けて
人口減少と財政制約の時代において、都市がどのような投資を選択するのかは極めて重要な政策判断です。
文化政策の重要性を認めつつも、
・都市投資の優先順位
・将来財政への責任
・市民理解
を丁寧に積み重ねていく必要があります。
今後も議会の役割を果たしていきたいと考えています。
【討論全文】
第14号議案「令和8年度仙台市一般会計予算」に対する附帯決議 賛成討論 2026.3.12
ただいま議題となっております 第14号議案「令和8年度仙台市一般会計予算」に対する附帯決議案について、せんだい自民・参政の会を代表して、賛成の立場から討論を行います。
本市が進めようとしている音楽ホール・中心部震災メモリアル拠点の整備は、本市のまちづくりと財政運営の将来に大きな影響を及ぼす、極めて重要な政策判断であります。
文化芸術の振興や震災の記憶と教訓を後世に伝える取り組みは、東日本大震災を経験した本市にとって大きな意義を持つものであります。 昨日の3月11日には、皆さんもそれぞれの場所で、それぞれの立場で決意を新たにしたことと思います。しかしながら、これまでの議論からは、施設の規模などハード整備の検討が先行する一方で、財政負担や具体的な機能や運営のあり方などに関する検討や説明が十分に尽くされているとは言い難い状況にあります。
本附帯決議の趣旨の第1は、財政規律の問題です。本事業の整備費用は、当初の見込み額218億円が基本構想段階で350億円、昨年末の基本設計中間案で548億円、そしてわずか2ヶ月後には646億円と想定を大きく上回る規模となりました。当初の見込み額からは約3倍、基本構想からでも約2倍に跳ね上がっています。さらに、今議会で明らかになった市債利子は120〜170億円であり、これを含めると現時点で総額800億円規模に膨れ上がります。整備費も市債利子も、今後の物価等の変動によって、まだまだ上振れする可能性が高いといえます。将来の運営収支、大規模改修等の発生も忘れてはなりません。
市民からも議会からも、大きな増額や将来の財政負担増について懸念する声が多いのにもかかわらず、事業費の上限も考え方も示されるには至りませんでした。
本市は今後、社会保障費の増加、いじめ・不登校を含む子供子育て課題、下水道や学校施設などの公共施設の更新、防災・減災への対応など、多くの政策課題に直面していくことが見込まれます。仙台駅前の開発、戦災復興記念館、定禅寺通りや一番町などの在り方もいまだに見えないままです。そのような状況の中で、本事業を進めることについては、都市経営の優先順位という観点からも、より慎重に検討されなければなりません。限られた財源の中で、どの政策にどれだけの資源を配分するのか。それはまさに、都市経営そのものに関わる重要な判断であります。
第2は、市民理解の問題であります。 市のアンケート調査では50.2パーセント、また会派で実施したアンケート調査でも65.4パーセントと、半数以上乃至3分の2の市民がこの計画を知らないということが明らかになりました。 およそ800億円規模ともいえる本市最大級の公共事業でありながら、市民理解が十分に形成されているとは言い難いと言わざるを得ません。巨大事業である以上、市民が事業内容を知り、判断できる説明が求められています。
どのような公演を誘致するのか、どのような文化拠点を目指すのかといった戦略が不明確なままでハコモノの整備が先行しているばかりでなく、需要や賑わい創出、経済効果、地下鉄の輸送能力や駐車場の課題なども十分な検討と分析がなされているとは言えません。また、複合施設よりも約3年早い2028年に開館する新宮城県民会館との関係をはじめ、県や周辺自治体との役割分担や広域的な連携のあり方についても、なお検討を深める必要があると考えます。
震災の記憶と教訓を内外と後世に伝えることは、東日本大震災を経験した本市にとって極めて重要な使命であります。 震災伝承とは、本来、市民一人ひとりの経験や地域の記憶を社会全体で共有し、次の世代へ伝えていく営みであります。にもかかわらず、複合施設の適切性や、災害文化という用語の不明、音楽・文化・芸術との常続的、連続的な融合に関する手段や形、運営のイメージも、市民の理解と共感が十分に得ているとは言い難いものです。
市民理解とは、知ることから始まるものであります。
事業の目的、施設の機能、新宮城県民会館との役割分担、整備並びに維持管理費用、そして将来の財政負担など、重要な点について、市民が判断できるだけの情報が十分に共有されているかどうという観点から見て、なお説明を尽くす余地があると考えるからこそ、本附帯決議では市民への丁寧な説明を行い、市民理解の状況を把握しながら事業を進めることを求めているのであります。
私たち議員は、市民からの負託を受け、議論を尽くし、最終的には熟議を経て意思決定を行う責任を負っています。
これにあたっては、市民の立場に立ち、市民の感覚を大切にして行政の施策検証し、必要な点について改善や留意を求めることが求められています。 本市がこれまで掲げてきた市民協働の理念に照らしても、市民が知り、理解し、議論に参加できる環境を整えていくことは、行政と議会に求められる基本的な責務であると考えます。
さらに申し上げたいのは、将来世代に対する責任です。
公共事業、とりわけこれほど大きな規模の事業は、今を生きる私たちだけの問題ではありません。 将来にわたる財政負担は、これから仙台で暮らし、このまちを担っていく世代にも影響を及ぼします。だからこそ私たちは、その時々の勢いだけでなく、自らの責務をかえりみながら、市民の理解と信任に支えられ、将来世代にも説明のつく判断を行わなければならないと考えます。 そしてその判断は、長らく建築物としてのみならず、記憶、そして記録として残り、後に振り返られ、市民の評価を受けることになるものであります。
本附帯決議は、本市の現在と将来に責任を持つ立場として、より丁寧で持続可能な事業の進め方を求めるものであることを重ねて申し上げ、賛成討論といたします。(以上)
