令和2年第3回定例会での決算認定における自民党賛成討論

今定例会の最終日(10/7)に自由民主党として決算認定の賛成討論をしました。将来の厳しい財政状況に向け、持続可能な都市経営を行うことができるようにするためです。
 一方で、真に苦しむ弱者よりも、政治的思惑を重視して、いかにも聞えの良い施策を優先順位を違えて行ってきたことへの厳しい指摘もさせていただきました。
 これからも、市民・地域のため、良いことは評価・助長し、誤ったことは厳しく糺していく是々非々の姿勢で歩んで参ります。
【議案第94号 仙台市ガス事業会計決算認定に関する件への賛成討論】
≪ 本市の財政面での課題と対応の方向性 ≫
 令和元年度決算では、税源移譲の影響を除いた市税収入の増加があったものの、主要一般財源は頭打ちであり、少子高齢化の進行に伴う社会保障関係経費などの扶助費を含む義務的経費の継続的な増加傾向によって、経常収支比率は高止まりし、財政構造の硬直化が進行していると報告されました。
 また、9月に策定された中期財政見通しでは、武漢市を発生源とする新型コロナウイルス感染症の影響に伴う市税収入の大幅な減少等によって、令和5年度までの3年間で約1,162億円の収支差が見込まれており、次年度の令和3年度における収支差でも、これまでの財政調整基金繰入を始めとする財源対策を上回る額となって、大変厳しい財政運営に直面するとのことであります。
 新型コロナウイルス感染症が収束を迎えても、このまま少子高齢化が進展して、経常的経費の割合が高くなれば、地域の実情を踏まえたまちづくりや市民活動といった様々な施策を柔軟に実施するための政策的経費が圧縮されることになりかねません。
 これらの課題にしっかりと対応していくためには、自助・共助といった市民のご協力をはじめ
「地域の実情に応じて使える地方創生臨時交付金などの財源確保や、更なる財政措置の充実に向けた国への働きかけ」
「新型コロナウイルスの影響を受けている地域経済の早期回復策や、長期的な視点を重視した経済活性化策による積極的な税源涵養」のほか
「市有財産の有効活用といった積極的な歳入の確保」
「デジタル化を含む事業・事務の効率化、公共施設の長寿命化対策や民間活力の更なる導入等を始めとする事業見直しなどによる財源捻出」等が必要であります。
≪ ガス事業会計決算認定について ≫
 今回のガス事業民営化は、決算年度において、民営化推進委員会が立ち上げられて検討が開始され、昨年12月の第1次答申を踏まえた議会の議論を経て民営化計画が取りまとめられました。その後、コロナ禍後の新たな生活様式や働き方など、急速な変化に対応する観点から、この8月に第2次答申がなされ、現在の公募に至っております。
 様々な手法によって持続可能な都市経営を実現する、未来志向の民営化に賛同する立場から一定の評価をするものであります。
 ここで改めて申し上げますが、都市ガスの安定供給や保安が確実に引き継がれ、これまでと変わることなく、市民の皆さんが安心してガスを使用できることは大前提のことであります。
 その上で、民間のノウハウや多彩なアイデアを生かした様々なサービスが展開され市民の皆さんの利便性が維持・向上されること、また、これまでガス局と一体となり安全・安心を担ってきた関連事業者の皆さんとの連携がさらに図られ、地域経済の活性化につながっていくことはとても重要なことであります。
 今般募集要項で定められた最低譲渡価格の400億円はあくまで最低ラインであり、応募を検討される方々には、ガス事業の価値を適正に評価いただき、より高い価格でのご提案を望むのであります。
 長年の間、成し遂げられなかったガス事業の民営化を今回逃せば、もう次のチャンスはないとの覚悟をもちながら、市民のため、そして仙台市の健全な都市経営に資するよう、以上のことに十分意を用いて、公正な選考過程の中で戦略的に取り組んでいただくことを強く求めます。
≪ 決算を踏まえた今後の様々な課題への対応にあたっての留意事項 ≫
 加えて、直面する新型コロナウイルス感染症等の拡大防止と市民生活・経済活動の維持、並びに激甚化する自然災害に備える国土強靭化、テロ等の武力攻撃災害等への対策は、油断なく確実に進めていかなければなりません。
 このため、冒頭申し上げた課題への対応にあたっては、特に、事業の厳選と重点化のための根拠に基づいた選択と集中、優先順位の適正化を重視した市政運営が一層求められております。
 決算年度には、教員がより子どもに向き合える体制づくりの一環として、35人以下学級の拡充が行われました。わが国の財産は人であり、教育は極めて重要であります。今後一層の健全化と充実を図るべきとの私たちの思いに揺らぎはありません。
 しかしながら、きっかけとなったいじめ等による本市における自死はいずれも35人以下の学級で発生していたこと、導入された対象クラスは、実は全中学校507クラスのわずか一割余りであること、導入後もいじめ・不登校等の数は増加し、5割の教員の多忙感も解消されていないことから、適切な予算執行であったとは言い難いと考えます。
 もとより、少人数学級は学力の向上との因果関係の研究は存在しますが、いじめ・不登校・教員の多忙感の解消のエビデンスは聞いたことがありません。
 9月の文科大臣の少人数学級実現の発言は、コロナ対策を意図したものであります。本市の導入趣旨は異なるものであったと認識いたします。
 それよりも、むしろ日々胸を掻きむしり、悩み・苦しむ本市の子どもたちとその家族のため、国や各政令指定都市が進めているスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーや、養護教諭・学校現場の課題に直接専任させることができるフリーの教員配置に4億円余(教員68人分)の予算を配分すべきであったと思います。少人数の利点は承知しておりますが、本市における予算措置の優先順位は不適切であったと言わざるを得ません。
 私たちの責務は市民の幸せと福祉を向上するため、現場の現実に誠実に向き合い、耳目を傾け、知恵と汗を絞ってひたむきに課題解決にあたることだと信じます。
 一般に耳あたりのよい政治的思惑を優先・重視することは、真に苦しむ弱者からの批判と失望に耐えることができないと思います。
 今回の各会派・委員の決算等審査を通じて多くの課題・問題が明らかになりました。多難な状況下、職員のご苦労とご尽力を十分に理解し、敬意を表するところではありますが、ただ今申し上げた事例を含め今一度原点に立ち返って、次年度の予算編成への反映にとどまらず、困難とともに大きな変化を迎えている新しい時代にしっかりと立ち向かうため、市の組織と態勢、市長の意識と考え方について真摯に再検証し、市民のため、ともに引き続きご尽力いただくことを併せて願い、賛成討論といたします。